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2015年9月9日水曜日

研究:ルドルフ=カルナップの価値論と形而上学批判 その1

カルナップは形而上学に積極的な意味を与えることに反対していて、人間の能力を超越した問題を提起することよりもより実践的な課題に専修するべきであると提言しています。そして、全体としての形而上学は疑似命題となっているという論証を
形式論理学と構文論を根拠に構築しています。

まず初めに、彼は有意味な単語Sを仮定し、その定式化の方法を次のようにまとめ上げています。

1.Sから演繹可能な文、またどのような文からSが演繹可能か(通常の定式化
2.Sの真・偽はどのような条件で決定するか                    (論理学的方法
3.Sはどのようにして検証されるか                                (認識理論
4.Sの意味とは何か                                                 (哲学、現象学的方法

そして、意味のない形而上学的単語はどのような性質を持っているかを検証します。
例えば、“原理”という単語の定義を求めるとこれに“xはyの原理である”という構文を与えることができますが、では原理であるということは“~が生じる”、“~が・・・の為に実在する”といった様に多義的であいまいにならざるを得ないと指摘しています。
こうした言葉には明確なイメージが付与されていないにもかかわらず、言葉の語幹から連想されたイメージと感情をほのめかすことによって意見有意義な主張をしているかのように見せかけているのだと結論しています。


(続く

活動報告その2

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2015年9月2日水曜日

研究:ルドルフ=カルナップの科学観

まず初めに、ウィーン学団の論理学者、ルドルフ=カルナップが著作「科学の統一の論論理的基礎づけ」で述べている科学観を紹介したいと思います。

カルナップは記述する言葉の用法によってまず学問を二分するべきであると考えます。
一つが言葉の要素部分のみを指示する形式論理学、構文論による学問、
もう一つが言葉とその対象の関係を論じる意味論による学問です。
前者は形式科学と呼ばれ論理学や数学の様な分析的学問、
後者は経験科学と呼ばれありとあらゆる事象・現象を研究する総合的学門です。

ここで注目するべきことは、カルナップがカントの分析的、総合的という用語を用いて
論理学・数学を分析的とみなしている点です。
しかし、当のカントは純粋数学の公理・公準等は分析的な方法から得られるものではなく、全く直観的で総合的なものだとみなしています。何を以ってカルナップが論理学・数学を分析的であると位置付けているのかは今後の課題となると思います。

次にカルナップは現在の科学が非・有機と有機、すなわち物理学と生物学にわかれていることを指摘します。そしてこの学問を上手く統一するためには意味論的な
物理学的言語、生物学的言語(物―言語、生―言語)を導入し、まずは物―言語を
原子的な物―述語に還元可能にし、その次に生―言語を物―言語に還元するべきであると提言します。



そして生―言語が適用可能な狭義の生物学に対し、心理学・社会科学といった
広義の生物学が存在することを指摘します。カルナップ自身は広義の生物学を
生―言語で記述する可能性を説いていますが、しかしこれは肉体・精神とを二分する
形而上学的二元論と深く結びついている為困難でもあるとも指摘しています。

カルナップは全ての学問の物―言語への還元による導出可能性を探っていました。
しかしその一方で形而上学、美学、倫理学の様な唯物論的でない、価値問題が肝要となる学問を彼は一体どの様に見なしていたのでしょうか?
次回はカルナップの美学観・形而上学批判について掲載したいと思います。


(主な参考資料:「カルナップ哲学論集」紀伊國屋書店、2003)

2015年8月17日月曜日

活動報告その1 - Blogger開始

こちらは法政大学人文科学研究会(Housei University Humanity Science Club , HUHSC)の
編集委員のブログになります。
主な活動は人文科学関係分野の独自研究、批評の掲載、また委員が作成した芸術・文芸作品の
発表等を目標とする予定です。